Profile
1993年静岡県磐田市出身。ジュニアオーケストラ浜松で10歳からオーボエを始める。静岡県立浜松西高等学校、武蔵野音楽大学を経てドイツ国立トロッシンゲン音楽大学大学院を最優秀の成績で卒業。
これまでにオーボエを、石橋雅一(元芸大フィルハーモニア管、スタジオミュージシャン)、青山聖樹(NHK交響楽団首席)、インゴ・ゴリツキ(元ハノーファー、シュトゥットガルト音大教授)、ゼフキ・エツゼファ(ハンブルク国立歌劇場首席代行)、ニコラス・ダニエル(ソリスト、トロッシンゲン音大教授)、オリヴィエ・スタンキエーヴィチ(ロンドン交響楽団首席)の各氏に師事。
トロッシンゲン音楽大学院卒業後帰国、同時にHPAC Orchestra 兵庫芸術文化センター管弦楽団入団、在団中に音楽監督佐渡裕氏推薦によるリサイタルシリーズ出演、新日本フィルハーモニー交響楽団第39回ルビー定期ブランデンブルク協奏曲のソリストを務める。浜松フィルハーモニー管弦楽団首席オーボエ奏者を兼任したのち、2021年8月HPACオーケストラを退団。現在は東京に拠点を移し活動中。
皆さんこんにちは、オーボエ奏者の神農広樹です。決してエリートとは言えない経歴ですが、様々なスタイル、国籍のプレーヤーに師事して、それぞれのいいところを吸収して上手になってきました。
高校時代は石橋雅一先生に師事して、アメリカンスタイルの演奏を勉強しました。ロングスクレープと第三オクターブキーが無いロレーのアメリカン仕様の楽器で基礎を学びました。
武蔵野音大に入ったところで青山聖樹先生とインゴ・ゴリツキ先生に師事、ショートスクレープに転向、楽器もBuffetCramponに。武蔵野音大時代は同級生の優秀なオーボエ専攻の学生に恵まれ、先生の良いところを伸ばす指導に恵まれ、のびのび上達しました。インゴのレッスンは非常に厳格で、みんなで胃を痛くしながらレッスンに通ったのはいい思い出です。
卒業後はすぐに留学、ハンブルクでは国立歌劇場の首席代行奏者、トルコ人女性のゼフキに習いました。ビュッフェを吹いていた彼女は非常に明るくて優しい、チャーミングな音色の先生でした。ハンブルク時代は平行して長期休暇に日本でミュージカルのお仕事もさせていただいていました。そこでは伊藤量子先輩(通称ラスカルさん)にこの業界で働いていくための全てを教わりました。彼女には直接師事していませんが、もしかすると日本でのお仕事に最も大きな影響を受けたプレーヤーかもしれません。
トロッシンゲンでは大学院生として勉強しました。楽器はそこでマリゴに。ビュッフェは耐用年数を超えたのか、どんなリードでもスカスカな音しかしなくなってしまいました...。そこで師事したのがイギリス人のソリスト、ニコラス・ダニエル、ニックです。今の僕の演奏は彼によって完成されました。オーボエを教わったというよりは、生き方そのものが変わったように思います。音楽とは何か、生きているとはどいういうことか、ニックと2人でよく語り合ったことは決して忘れられません。
ときどきロンドンに行って、オリヴィエのレッスンも受けました。少し年上ですがほぼ同年代のオリヴィエはソニーのコンクールに勝って、キャピトルトゥールーズを経てロンドンシンフォニーに行った同年代のアイドルです。同じような目線で、同じように楽器を吹いて同じフレーズを何度も何度も吹いたレッスンは刺激に満ちたエキサイティングな時間でした。
アメリカンスタイル、ジャーマンスタイル、イギリスのスタイル、フレンチスタイル、あえてタイプ分けするなら全てのスタイルをしっかり勉強しましたが、勉強すればするほど正解が無く、その人の音楽に合ったスタイルで演奏するだけだと痛感しました。僕のスタイルは何なのか、見つけることができたので今現在仕事ができているようにも思います。